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仙台山鉾 特集

 
今年で40周年を迎える「仙台・青葉まつり」
新たな仙台山鉾(やまぼこ)を守屋木材が制作いたします

仙台・青葉まつりの歴史と12基目の仙台山鉾

仙台山鉾(やまぼこ)巡行は、毎年5月の第3日曜日に開催される「仙台・青葉まつり」を象徴する伝統行事です。
このお祭りのルーツは、藩政時代の「仙台祭」と、明治期の「青葉まつり」の2つです。戦後の昭和42年に一度途絶えたこの伝統祭礼は、伊達政宗公没後350年を迎えた昭和60年に復活しました。開催日は、政宗公の命日に合わせ、毎年5月の第三日曜日と前日の土曜日に設定されています。

1654年(承応3年)

仙台東照宮完成。翌年から例祭が開催され「仙台祭」と呼ばれる。

1874年(明治7年)

青葉神社が完成。翌年から例祭が行われる。

1885年(明治18年)

「政宗公没後250年祭」が開催される。

1899年(明治32年)

「仙台開設300年記念祭」が開催される。

1935年(昭和10年)

「伊達政宗公300年祭」が開催される。

1956年(昭和31年)

「仙台青葉まつり」が開催され、1967年(昭和42年)まで続く。

1985年(昭和60年)

現在の「仙台・青葉まつり」の第1回が開催される。

第4回となる昭和63年の祭りでは、当時の山鉾巡行を再現するべく5基の仙台山鉾が制作され、巡行が復活しました。
翌年にはさらに5基が加わり、平成7年にはもう1基が制作され、現在の11基となりました。
このうち、弊社は最初の5基を手掛けました。
屋台や車両の材料には台湾ヒノキを使用し、白木の美しさを活かした造りとなっています。また、協賛団体・企業イメージを考慮しながら、約2か月をかけて制作しました。
そしてこのたび、第12基目となる仙台山鉾の制作を、再び弊社が担当させていただくことになりました。完成は4月下旬を予定しております。
今後、制作過程の様子を随時ご紹介してまいりますので、ぜひご覧ください。
 (参考資料:「仙台・青葉まつり 三〇周年記念誌」)
 

 

【制作過程①】材料の買い付け

2025年1月、茨城県行方市の沼里林業さんにてケヤキ材の検品を行いました。
買い付けたケヤキ材は、山鉾の車輪部分に使用されます。

これも検品作業のひとつ。叩いて強度をチェックするのだとか

 
 
また2025年2月には、岐阜県下呂市の桑原木材金山工場さんにて、ヒノキ材の検品を行いました。こちらは山鉾の車台(土台部分)・御宮部分に使用されます。
 
 
次回は車輪部分の制作の様子をご紹介します!
 

 

【制作過程②】車輪の制作①

ケヤキ材を使った車輪の制作の様子をお届けいたします。

組み上げていく様子がよく分かりますね


組み立てはすべて手作業で、何とボルトや釘、接着剤は使用しません。
精密な作業を必要とする、正に職人技です。
 

このままでも車輪として使えますが、このあと周囲に鉄輪をはめ込んで完成となります。
そうすることで各パーツのがたつきを抑えられるほか、木への摩擦が減り、寿命を伸ばせるのだそう。
 
車輪部分・車台(土台部分)・御宮部分の3つに分けて制作を進めております。組み立ては4月中旬から下旬にかけて行う予定です。
 

 

【制作過程③】車輪の制作②

今回は、前回組み上げたケヤキの車輪の周囲に、鉄輪をはめ込む様子をお届けします。
世にも珍しい「焼き嵌め(やきばめ)」という技法をご紹介していきます。
 
まずはなんと、炉を熱していきます。

特殊な形状の炉


そしてその中に鉄輪を投入し、炭の中で熱します。

職人たちの見事な連係プレー


いきなりの工程に驚いたかもしれませんが、もちろん理由があります。
その理由についてはのちほど!
 
鉄輪が熱し上がったら、炉から取り出して車輪に嵌め込みます。

ここも職人たちの連携プレーです


 
鉄輪が冷却しきる前に、ハンマーでたたいて位置を微調整。
完全に冷却するともう動かなくなってしまうので、時間との勝負です。

熱すぎて煙がすごいことに


 
鉄輪と車輪がまっすぐ嵌まったところで、水桶に投入して一気に冷却します。

冷やして

取り出す


熱して膨張した鉄輪を嵌め込み、冷却して収縮させる。
これによって、ぴったり嵌まって外れない車輪が完成するというわけです。
これが「焼き嵌め」という伝統技法。
ダイナミックながら繊細な作業を要する、まさに職人技です。
 

完成!


 
この焼き嵌めですが、継承者不足に悩まされているのだそう。
仙台・青葉まつりを継承していくと同時に、こちらも守っていく必要がありそうです。